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副生徒会長の偽島メモから役に立たないものを盗み食い。 聖グレゴリオ魔術学園の騒動も盗み食い。
2017/12
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えー。頂いたメッセージが殆ど反映されてません。
今回は主役にスポットを中てる回という事で。

例によってgdgdしてますっていうか、こんな日記だから強気受けとか言われるんじゃ。
御崎ともドォルとも、まして先輩ともそういう関係はないったらないのです。
……ないですってば。

誤字は修正してあるとかしてないとか。


5.

「ふぅん。流石に僕が指名した副会長なのですね」
 犬二匹を生かさず殺さず洗脳状態に持ち込んだ――そういえば戦闘中、草が一株増えているのが気になっていたのだが、後に聞いた話によると彼女は草ではなく毬藻で、しかもギルドメンバーらしい――僕に、巨大な棺桶の上でまったりとロイヤルミルクティーを啜っていた先輩がやる気のない声で言った。二匹の黒猫は相も変わらず、まるで彼の従者のように両脇に控えている。
「戦闘センスはいまいち、運動神経もそこそこ。複科履修の僕と違って紅掛君は洗脳術だけで先に進まなければならないから少し苦労する事になりそうなのですねぇ。面白いから良いけど。僕関係ないし」
「まさか洗脳をこんな用途で使う羽目になるとは思いませんでしたよ……」
 死神が言うのも何だが、僕は無用な殺生は好きではない。力任せに邪魔立てするものの全てを屍の山に積み上げるよりは、術に嵌めて無理にでも大人しくさせる方がまだ性に合っている。
「でも紅掛君はあまーい甘すぎるっ」
「……どういう事です?」
「洗脳術で戦うならば寧ろここからが本番なのです、よ、っと」
 先輩は棺桶を蹴って音もなく地面に着地する。と同時に猫が一匹、僕目掛けて飛び掛ってきた。
「うわ!」
「洗脳したならば次は手駒に変えなくちゃ勿体無いのです」
 もう一方の猫が背後に回り込む。先輩の手前鞭を振り回す訳にもいかず、僕は二匹の攻撃をただ只管かわす事に専念する以外どうしようもない。てんでばらばらに襲い掛かると見せてふいに見事なコンビネーションを披露し、かと思えばまた四方から次の読めない手を打ち――先の戦闘とは段違いに洗練され、且つ気紛れな猫らしい動きを見せる二匹に翻弄されつつも、何とかギリギリで鋭利な爪を避けてゆく。
「と――まぁこんな感じでー」
 数分に渡る猫パンチ攻撃が止んだ時には、僕は完全に息が上がって文句の一つも出なくなっていた。が、偉そうにふんぞり返ったまま指一本動かしていない先輩は当然疲れた様子もなく、ふふんと僕を見て笑っている。僕とは逆の、猫独特の金色の瞳が鈍く光っている。
「その気になれば洗脳術だって立派な武器になるのです。寧ろこれこそこの術の本領。紅掛君だって既にこれくらい出来る筈なのですけどね。さぁ次は君の番っ」
「は……ちょ、と待って下さ……」
「現洗脳術科成績トップがこの有様では主席卒業の僕は情けないのですよー? 思うに紅掛君には戦闘意欲が無さ過ぎるのです。そこの犬下僕どもは君のモノ、君のカベ。命令を下してあげなきゃただのぼんやりしたおばか犬に成り下がってしまう可哀想なイキモノ。奮起せよ、血肉を喰らえ殺意で飢えろ怨念をばら撒き砕け散――」
「せ、先輩ストップ!」
 僕は反射的に犬たちの意識を落とした。一瞬先輩に触発されかけた犬が小さく痙攣して地面に伏す。
「そんな方向に術の上書きをしないで下さいよ! 制御不能になるじゃないですか!」
「やん、残念っ」
「可愛い声で言っても駄目です!」
 黒猫が前足で僕の爪先をはたいた。
「死神の癖に死神らしくないんだからほんと面白くないのですよね、全く。はー……それじゃ取り敢えず、これで僕は教える事は教えたのですよ? 次に見にくるまでにせめてまともに戦えるようになっていて欲しいものです」
 現れた時と同じように、す、と先輩の姿が見えなくなる。先輩にとっては日常茶飯事の生体物質転送――失敗すれば二度とこの世に現れる事の出来なくなる、余程腕に自信があるか生き死にに興味がない者しか行わない生命を危険に晒す物質転送の一種。これを自分の身に躊躇い無く使う先輩の心理状態を、御崎や僕は良く知っていた。
「また来るのですか。というか……帰っちゃうのか」
「何か言った?」
 すぐ鼻先に先輩の顔がひょこりと現れた。まるで不思議の国のアリスのチェシャ猫だ。
「な、何でもありません」
「なら良いけどぅ。卒業したければ真面目にやらなきゃ駄目ですよー」
「……はい」

 先輩の気が完全に消えるのを待って、僕は大きく息を吐き出した。緊張の糸が切れると同時に元の寂寥感が戻ってくる。あんな鬼のような先輩でも、居てくれればそれなりに頼りになるのに。
 こちらの修羅場が収まったのを見計らってか、いや恐らくこの人は単に今までの間また目新しい何かを観察していたに違いないのだが、教授がエプロンとTシャツを手にやあやあと寄ってきた。
「君もこうして壬生研の一員になったのだし、いいものをあげよう」
「え、えぇ……何時の間に。第一それ……いいものなんですか?」
「これはいいものだ」
「……」
 足元にごろりと猫が転がった。先程までの戦意は微塵も無い、ただ眠たそうなだけの仕草。片割れは何処かへ行ってしまったようだ。黒猫を抱き上げ、もう一度溜息をつく。
「この猫好きめ、猫まっしぐらめっ」
「別にそういうつもりはないし、草まっしぐらな教授に言われたくないです」
「むむ」
 チャイブとルッコラが声を立てず笑っていた。

 猫を抱えて教授と共に集会所へ戻る。途中見知らぬヴァルキリアに声を掛けられ、先の架空戦闘で先輩が半ば強制的に組ませた事で顔見知りになったメロウ、ロクロー、そしてウサギを連れた未琴と合流し、集会所に到着した頃には再び夕暮れ。流れる雲の向こうに一番星が光り始める。
 夕飯を済ませてから、僕は例によってまた少し距離を置いた場所で目を閉じた。

 メンバーの愚痴やら笑い声やらが風に乗って聞こえてくる。昨日よりは少しだけリラックス出来る雰囲気。それでも矢張り。
 僕はヘッドホンで自ら耳を塞いだ。流れ出す楽しげなDJたちのボケツッコミや、何があったのかどこか諦念を感じさせる青年のもそもそした声。聞き慣れたそれらまでもが今は酷く遠くに聞こえる。膝の上で眠る猫と、僕に身を寄せて座り込み時折周囲を警戒する犬、その暖かさに涙が零れそうになる。
 ――戦闘意欲がない? それは違う。ただ何を見ても学園での生活を思い出して。
 寂しいのだ。例え学園に戻ったところで打ち解けられる仲間は少ないと解っていても。
 ――ホームシックなんて何年振りだろう。

 だが何時までも落ち込んでいる場合ではない。僕は結った髪を解いて、ある一つの決断を下した。

***

「おいおいおいおいッふざけるのはその女顔だけにしようぜ副会長ぉぉッ」
「どうせ暇でしょうが」
「そういう問題じゃねぇ!」
 シベリアンハスキーが吼えた。この犬の中にいる魂の半分はドミトリィ・ドォル――生徒会の書記だ。錬金科に於ける永遠の二番手、ロシア国籍の生身の人間、彼は十八歳と年こそ僕より一つ上だが、職柄上彼が僕に命じられれば従わぬという選択肢はない。
「畜生、今どういう状態なんだよ竜胆!」
「えぇと……御崎がネクロマンサーの一族である事はご存知でしょう。彼の家は代々三兄弟が家業を支え、死者に再び魂を与える魔術を口伝で習得している。長男は反魂術、次男は奪魂術、そして三男の御崎参礼は封魂術。その封魂術を少し前に教えて貰ったんです。で――」
「俺の魂を犬の中に突っ込んだって訳か。くっそー!」
 犬が地団太を踏んで悔しがる有様を初めて見た。これはこれで結構な見物だ。それを笑える気分ではなかったが。反則なのは重々承知の上での封魂だったが、矢張り申し訳なさが先行してしまう。
「……おいこら、何時ものサドっ気はどこ行った?」
 珍しくしおれている僕の頬を、ドォルの大きな舌が舐めた。所作が犬に近いのは半分残してある依代の犬の意識と混ざり合っている所為だろう。それに重ねて――洗脳も、軽く掛けてある。尤もこれは逃げようとした時に足が動かなくなる程度の軽いレベルだが。
「俺が課外実技やった時も心細かったから気持ちは判る。寂しかったんだろ」
「すみません……ドォル」
 ドォルは溜息をつく。
「人見知りのお前にはやりにくいな、確かに。良いよ、ご指摘の通り俺は学園中で一番暇な男だ。鳴瀬と御崎のお陰でな。だから暫くここに居てやる。犬の身体と本体、両方動かすのには結構神経使うんだけど、まぁ何とかなるだろ」
「あ……りが」
「だが洗脳は解いてくれないかなぁ……?」
「……ばれてた」
「バレバレだ、馬鹿だな。逃げやしねぇよ。安心しな、副会長」
「でも、逃げようと思わなければ洗脳には気付けない筈なんだよね」
「……逃げたいと思うのが普通だクソ野郎」

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