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副生徒会長の偽島メモから役に立たないものを盗み食い。 聖グレゴリオ魔術学園の騒動も盗み食い。
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そろそろメッセージを反映させていくのが厳しくなってきたかも。
今回は駆け足で何とか詰め込みましたが
何せ、メッセ相手の次の前振りまでは流石に予測不可能。
やってる事食い違ってね?てな事態になったらあれです。少し不思議って事で。
使わせて頂いているキャラクタさんの行動が本当の行動って事で一つ。

それでも今回ギルドに顔を出した事でわんだらメンバーとは会話が出来るようになったので
少しはこじつけやすくなりました。こちらからも声掛けやすいし。
ただ無理矢理押し込んだ所為でストーリー展開としては壊滅状態です。
中の人はもう少し頑張るべき。

結果画面では長文が読み難いのでプロフにLogカテゴリURLを載せる事を検討中。
まぁ、読んでる方がどの程度いるかはわかりませんが。


3.

「なんて美しい人だろう」
 開口一番そう言い放った気障な蠍に向かって容赦なく、寧ろ精一杯の力を込めて鎖の鞭を振り下ろした。申し訳ないが流石に蠍はお断りだ。鎖につけた鎌のチャームは運良くその装甲に突き刺さり、蠍は呆気なく息絶える。鎌についた蠍の体液をちろりと舐めると『僕はこれで満足なんだぜ』という念が伝わってきて、ほんの少し悲しくなった。
 それにしても蠍の噛ませ犬っぷりからするとどうも目下御崎に怒鳴られる程危険な状況という訳でもない気がするのだが――
「やあ、君。よければ我々と共に進まないか?」
「……!」
 何時の間にかすぐ後ろに口髭を蓄えた白衣の男が立っていた。少し離れた場所からずっと僕をつけていた例の研究者風の男だ。その隣にはベレー帽を被った緑の髪の少女が、少女の肩の上には一株の草が、それぞれにこにこと僕に笑顔を向けている。
「見たところ現地人ではなさそうだし――」
「ええ、まぁ」
「未知の空間を、そして未知の生物を相手に一人で進むのは危険だろう」
「……それはその。あ」
「まあ、こんな年寄り子供ではかえって不安かもしれんが。はっはっは。こう見えても医術の心得くらいはあるし、逃げ足なら負け」
「あの、後ろ」
 ふむん?と上機嫌で僕の指差す先を見て一瞬彼が凍りついたのを、僕は見逃さなかった。

「負け……んぞ」
 百足相手に苦戦を強いられ、眼鏡を割られ更にそれを飛ばされた研究者は、拾った眼鏡を再び掛けなおして咳払いをした。連れの少女と草は相も変わらずのほほんと笑っているが保護者は何やらずたぼろである。
 ――不安だろ。普通に。
「おっと、申し遅れたな。私は壬生舜匡という者だ。ここへは生態系の調査が目的で来た。もちろん遺跡への好奇心も大きいがね」
「命懸けの研究、ですね……」
 そうかね、と壬生は何事もなかったかのように言った。僻地慣れはしているらしく、怪我もそれ程は気にならないらしい。伸されて気絶した百足と僕が殺した蠍をノートに書き記して満足そうにしている。余計不安だ。不安すぎて――
 断れないじゃないか。

***

 初めての戦闘と訳の判らぬ遭遇に精神的に草臥れた僕は、壬生教授と連れ立ってクニーに言われたギルドの連絡所へと足を向けた。道すがら、連れの二株――実はどちらも『歩く草』でそれぞれチャイブ、ルッコラという名なのだそうだ――の植生と捕獲についての講釈やら遺跡に到る経緯やらを一方的に聴かされ、いや拝聴する。
 多岐に渡る話題の中で一つ驚いたのは、教授もまたあの無愛想の知り合いでありギルドメンバーであるという事だ。ああ見えてそれなりに顔の広い奴と聞き、改めてヒトは見掛けに拠らぬものだと思う。尤もどのようにして知人の輪を広げていったものかどうか、僕自身と彼との出会いを考えると少々疑わしい部分はあるが。
 連絡所には既にクニーやロジュの他、数人のメンバーが集まっていた。彼らもまた一戦交えた後らしく、手足の生えた石壁を従えている者もいる。教授の『歩く草』といい塗り壁のようなその生き物といい、確かにこの遺跡に蠢く生物は興味深い。教授が惹かれてわざわざ足を運ぶ気持ちも判る。その教授は何をしているかと言えば、ぐったりしている僕より余程元気で草二株を引き連れ挨拶回りに行ってしまった。どうせなら一緒にくっついていけば良かったのかもしれない。が最早それだけの気力はなく、僕は出来るだけ集団から距離を置いた場所に腰を下ろした。
 遺跡の中での夕暮れ。目を伏せ、遠くに会話を聞きながら深く息を吸い込む。これだけ美しい光景が広がっているのに、肺に届く空気はほんの少し黴臭い。
「……こ、こんにちは?」
「ん……」
 先程教授と言葉を交わしていた声の一つだ、と記憶と照合してから僕は目を開いた。うさぎの縫いぐるみを抱えた少女が何処か寂しげな顔をして僕を覗き込んでいる。
「私は未琴っていいます、こっちは偽ウサギです。ギルドにはいらないかいって耳長な人……エルフっていうんでしたっけ。に聞いたんですけど貴方も……ですよね? 宜しくお願いします」
 耳長、とはクニーの事だろう。僕以外にもあちこち声を掛けて回っているようだ。そうやって人脈を広げている訳か。
「あ、あぁ。僕は竜胆――紅掛竜胆」
 ぎこちなく、クニー以上の愛想のなさで返事をしてから、僕はふとに彼女の目をまじまじと眺めた。死神はその気になれば相手の残りの寿命をその瞳の中に覗く事が出来るのだが――彼女にはその残り時間が見えない。見えないのではなく、絶えず動いて一定していない為に読み取れないのだと気付くまでに、そう時間は掛からなかった。
「ウササ!! 宜しくウサよ」
 彼女の抱えた縫いぐるみが僕と未琴の間に割って入る。丁度偽ウサギと目を合わせる体勢になってしまった。偽ウサギの赤い瞳には――矢張り何か良く判らない数字が絶えず渦巻いている。
「その眼何かありそうウサね? ……ウササ……」
 君こそ、と心の中で呟いて再び瞼を閉じる。今はまだ死神と知られたくなかった。
 誰も僕の素性を知らぬここでなら――少しは肩の力を抜いて休めるかもしれない。

***

『はいはい何だよ竜胆。無事撃退したか?』
「蠍……切ない味がした」
『殺しちまったのか。でもさ、これからその繰り返しだぜ。上手くやれば気絶させるだけで済ませたり出来るんだけどなぁ』
 洗脳科じゃ慣れてないだろうけど慣れろよ、と珍しく気遣う御崎に解ってる、と小声で返す。蠍の屍骸を抱いたまま柔らかい毛布に包まって闇に目を凝らす。
「なぁ御崎」
『良いから早く寝ちまえよ。らっしくねーな子守唄でも必要なのか』
「いや、さっきの話は終わりだ。で。聞きたいのはさ。植物が歩けたらそれって動物じゃないの?」
『……は?』
「草や壁が歩いてた」
『うーん、まぁ一応、前に先輩が洗脳科の課外実技で行った場所でもそんなものはいたらしいぜ』
「それは良いとしても、それは植物なのか動物なのか?」
『知るか! 動物だろうが植物だろうがそれには全て意味がない。仲間は出来ただろ。そこなら安心して眠れるだろ。俺のお陰だな』
「……」
 礼は後で言うよ、と掠れる呟いた。御崎に聴こえたかどうかは判らない。

***

「今日の調査はっ」
「くろねこー!」
 教授とチャイブ、ルッコラの気合の入った声にふと我に返ると、僕らは新しい魔法陣の上に居た。眠れたような、眠れなかったような。
 抱えていた大きな蠍は鋭利な毒の尾を残して砂地の白い砂に変わってしまい、指の隙間からさらさらと地面に落ちてゆく。僕は残った毒の尾に細い鎖を通し、鎖鞭に括り付けた。滑らかな尾は魔法陣の周囲を満たす揺れる光の中で美しく黒光りする。
 ――僕の役に立ってくれたんだな。
「さて先ずは黒猫を捕まえるぞ。生け捕りだ。解ったかね紅掛君!」
「はい。……え、あれ……ね……猫、なん、ですか」
「猫だ。黒猫だ」
 先輩の顔が脳裏を掠める。愛らしい笑顔満開の先輩。その笑顔でえげつない事ばかりして回る先輩。それらを自称世界一可愛らしい仕草で強制的に水に流す先輩。ヒトの姿でいる時は常に人形のようなふわふわした服を着た猫耳の美少年、猫の姿でいる時は足の先だけが雪のように白い黒猫。
 御崎と僕の、天敵。
「聞いているのかね。黒猫を捕獲するのだぞ」
「む……無理ですッ!」

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無題
読んでますよー
むしろ一番楽しみなくらい好きです(・ω・*)
まわりは変なのばっかりだけど竜胆くんファイトー
壬生 2006/11/28(Tue)17:57:40 Edit
モッサァァ色だ
教授ー! 確定前までネタにしてごめんなさい(・∀・)w
今回のスパイクも正直おいしすぎて吹きました。神憑り的自爆。全てがネタに見えるスタンド使いか。
有難い事です。今後も何とか頑張れそうです∈(`・ω・)∋
竜胆(141) 2006/11/28(Tue)23:32:04 Edit
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