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副生徒会長の偽島メモから役に立たないものを盗み食い。 聖グレゴリオ魔術学園の騒動も盗み食い。
2018/04
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もはや何がなんだかわかりません
そもそも学園モノだったんじゃなかったのかと小一時間問い詰めたい
というかもう何でも良いので卒業させてください先生。


23.


『卒業に必要な単位が揃いました』
 携帯に届いたメールのそんな件名に、僕は思わず飲んでいたカモミールティーを吹き出した。何事かと横から覗き込んだドォルも思い切り噎せている。送信者は担当教官の浅生、文面は卒業資格を得た者が受け取るメールと同一。冗談ではないようだ。
「これであっさり課外実技修了、か。結局半年掛からなかったんじゃん」
「ん……まさか実験レポートだけで通るとは」
「まぁ宝玉持って来い、は浅生の付け足しだろ、しかもデマだったし」
「デマじゃなかったら見つけるまで延々単位貰えなかったのか」
「……だけどなぁ」
「……うん」
 僕とドォルは同時に肩を落とした。
「俺たち生徒会だからな……どうせ卒業保留なんだぜ」
「御崎はまだ徽章見つけられずにいるのかー」

生徒会規定第五章『委員の引継ぎ』
一. 生徒会会長職はその徽章を後任へ譲渡する事でのみ引き継がれる。
二. 新会長に拠り組織された生徒会の委員は、この会長が辞任するまで交代出来ない。

 寮を出る直前に御崎とも頭を悩ませたこの規定。そして代替わり直後に失われた徽章。諸悪の根源は先輩と前生徒会役員である、が文句を言った所で今更変わる訳でもなく。
「いっそ規約改正でも立案してみる?」
「それは御崎本人に潰されるだろう、どう考えても」
「だよね」
「駄目元で議題に上げても良いけどな、別に」
「面倒な事は一度寮に帰ってから考えようか……」
 宝玉話が大嘘だった、と聞かされた時以上のショックだ。根拠はないが何となく、僕が『竜胆』でいる間は『学徒』と名乗っていれば良いのだと思い込んでいた所為かもしれない。元々僕はあの特殊すぎる学校に入学する為だけに身体を構成し、他では得がたい知識と技術を得る為だけにその状態を維持してきた。
 目的である洗脳の技術は確かに一通り身につけた。催眠も含め、実戦でも机上でも応用出来るレベルに到達している事は自分でも解っていたつもりなのだが。
 目的を遂げれば僕は無理にヒトガタである必要はない。
 素の状態に戻れるのならば、今よりも格段に楽になれるのも間違いない。

 ――まだ竜胆でいたい、のかな。

 死が蔓延する場所に、人間を看取る為に姿を現した、という訳ではなかった、それがこれまでと今の自分の最大の差異だ。お陰で僕は竜胆と呼ばれ始めた時から人の死には殆ど係わり合いになる事はなかったし、『見取る』事もしなかった。結果人とのネットワークは増大し、僕もその中の特殊でない単一の存在と化している。

 ――死神に自我はいらないな。

「そういや珍しくあのうるっせぇ幽霊が静かだな。お前、何か術でもかけた?」
「え……あ、いや? でも言われてみればここ数日喚き声を聞きませんね」
 ピアス、と部屋の外へ呼び掛けた。普段ならそれで僕の背後あたりに唐突に現れたり、ばさばさと翼で無駄に空気を仰いで飛んできたり、どんな方法であれ反応は返ってくる、筈だった。
「……ピアス?」
 だが、何の反応もない。
「風邪でもひいて寝てんのか?」
「幽霊には病気もなにもないと、幽霊族の生き残りが」
「知るか。おいピアス、どこにいるんだよ」
「それに射干玉も――あ」
 ふと衣装部屋への鏡の扉を見ると、僕が映るべき場所には澄まし顔で羽根を繕う大きな鴉の姿があった。鴉の周囲には何かに集る己を忘れた霊体が大量に蠢いている。
 その中からピアスの腕がぬ、と突き出した。
「ウアァアオオ。ギリギリ! 助かった、ぜ!」
「……射干玉に消去されかけていたのか」
「やぁほんと言っといて良かった思い出して貰えて良かった、あんな寒い場所――」

『竜胆に余計な事まで喋るから、その罰だよ』

 射干玉が無音で啼く。

『だけどまぁ良い。回収したい知識は体得し終えたようだし』
「それは洗脳術の事、か?」
『卒業資格習得おめでとう、お役目ご苦労』
「役……目?」
『竜胆は僕の枝に過ぎない、という事まで覚えていて貰えないのが面倒だな』
「お前が僕の欠片……ではないのか」
『うん、そう。尤もそれは一方から見た捕らえ方でしかないけれどね』
「……そうか。なら逆が否定された訳じゃないんだな……」
『否定はしないさ。取り敢えず、もうそろそろこちらに戻ると良い』
「勝手に戻せば良い」
『どうせ僕は僕だものね』
「どうせ僕には無理だからね」
『この目一つで人間一人殺せない死神になんてどうせ価値はないさ』

「おーい竜胆? さっきから誰と喋っているんだ?」
「ん……?」
 竜胆はふと我に返った様に目を瞬く。
「……おかしいな」
「何が?」
 鏡に映る自分の姿に首を傾げて暫し沈黙した後、気にしないで、と平坦な声が返された。
「取り敢えず荷物纏める必要、はなさそうだが。色々準備が必要だろ」
「準備?」
「あぁもう。知り合いに挨拶とかさ、色々世話になっただろうが」
「……おかしいな」
「だから何が!」
「僕が、だ」

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