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副生徒会長の偽島メモから役に立たないものを盗み食い。 聖グレゴリオ魔術学園の騒動も盗み食い。
2018/12
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今回から絵日記機能で横に幅350pxのブランク画像を入れてみたので
多少は読みやすくなったんじゃないかなーと……
ただのブランクじゃ味気ないので全身ラフを載せた。んー。
これだと振袖の裾に綿が入ってるのとか全然判らない。
歌舞伎好きな方は見た事があると思いますが
裾が布団が幾重にか重なったようなかさばる形状になってます。設定上は。
本当は高下駄も持ってるけど、流石に戦闘に不向きすぎました。
だから千両下駄。

身長水増しじゃないよ? 171センチくらいあるし。高くはないけどね。


9.

 死神は死を齎す疫病神。だが死神は死を知らない。
 主観的な情報を失う事が死だと言うならば、死神は恐らく死ぬ事が出来ない。

 記憶を遡ると何処までも膨大な量の情報が甦る。その気になれば『死神』という概念が生まれた頃まで延々と遡る事が出来る筈だ。他の死神たちが体験した出来事や得てきた知識は蓄積され、地層のように積みあがり、全ての死神に共有される。
 ただ、死神たちの記憶は多分、何かに調整されている。僕以外にも人間になりすまし、人間らしく生きていた死神は大勢いた筈。にも係わらず、その時の感情に触れる事は出来ない。共有しているのはそういった体験から得たと思われる機械的な情報だけだ。
 その情報にアクセスした時、僕は改めて何かを思う。
 何時まで経っても、僕以外の誰かの感情は解らない。

 僕の記憶も今この瞬間にその一部へと変質する。表層の記憶は間違いなく僕自身の体験から得たものだと判る、が、深度が進んで、それが明らかに僕のものでない記憶だと判別出来ても、視点は主観的なまま変わる事がない。だから時折曖昧になる。何時そんな経験をしたのか、何処でそんな話を聞いたのか、何故死んだ言葉が口をつくのか。
 言ってみれば死神とは、一人歩きを始めてしまった概念の成れの果て。他人の視点を持たない情報の集合体。細く枝分かれしたデータベースの先端に情報を収集し続けるサーチロボットの役割を担う僕のような自我を持つ死神が存在するが、所詮どれも同じ幹を持つもの。どの死神も僕になり得るし、それ以前に『それ』は『僕』だ。

 他にも沢山いる死神たちと僕との境はどのように生まれ、どのように消えるのか。
 僕が僕でなくなる日は永遠に来ないのだろうか。

 死神は死を齎す疫病神。だが死神は死を知らない。
 主観的な情報を失う事が死だと言うならば、死神は恐らく死ぬ事が出来ない。
 けれど、知らないものを与える神なんて何処か歪な気がしないか。
 僕は自分が終わる瞬間を知りたい。
 そして、他人の目に映る僕の残骸を知りたい。
 他人にならなければ持てない、客観的な視点を得て――漸く死を知る事が出来る。

「でもその情報も得た時点で主観に切り替わるんじゃないのか」
 ぱちぱちと爆ぜる焚き火の傍で寝そべる犬が、欠伸を噛み殺してそう言った。
「僕が本当に消えられるのなら僕はそれを知る事は出来ない、つまり他の死神の情報としてしか残らない、と思うんだけどねぇ。でもそれも結局僕なのかな? 何だかんだでやってみないと判らないと言うか、そもそも僕は死ねるのかどうか」
「死神が死ぬってのも妙な話だとは思うけどな」
「うぅん……僕も聞いた事がない。死んだ記憶もないし。困ったなぁ」
「困ってんのは俺の方だ。何でこんなウジウジした死神が存在するんだよ。俺は眠いんだって」
「死神を形にしたのは人間じゃないか。天国も地獄も極楽浄土も天使も悪魔も皆人間が創造したのが発端で、まぁ後は勝手に過去にも未来にも展開したけど――その展開の方向すら大枠は人間に弄られてる気がするよ?」
「んな事ぁ知るか」
 発想がメタすぎるんだよバーカ、とドォルは面倒そうに唸る。
「僕には人間の振りをする方が難しくて面倒だよ」
「見た目だけ似せときゃ良いだろうが。どうして思考回路が一端に悩む程近くなってるのに上っ面はどんどん離れていくんだ。ツラとか服とか趣味とか!」
「え……? これはただ単に良いとか嬉しいとか思ったものを取り入れてるだけ、って……動かないでって言ったのに!」
「こいつ ちょう うぜぇ」

 そうそう、ここまでぐだぐだと喋りながら僕が何をしていたかと言うと――シベリアンハスキーの尻尾にリボンと早咲きの紅梅を編み込んでいただけだったりする。壬生研に現れた不思議な獣がそうやって自らを飾っているのを見て羨ましくなった、のでドォルの灰青色の毛に合いそうな色の花を探していたのだ。きっと白や青、紫ではいまいちぱっとしない、赤では強すぎる。かといってピンクでは可愛くなりすぎるから紅い梅あたりがきっと合うだろうと折角手折ってきたのに。
 この犬は嫌がるのだ。
「ドォル、伏せ」
「ぎゃああっ」
 びたん、と犬の身体が地面に張り付いた。これで少しは効率が上がる。
「お前、絶対洗脳術の用途間違えてるって!」
「五月蝿い、黙れ」
「んー……!」
「紅梅じゃなくて鬼百合でも良かったかなぁ」
「むー! んぐー!」

***

 月に誘われふらついていた先にあの石作りの大広間はあった。不思議なバーといい、この遺跡外のように人口過密気味な広間といい、つい建物があると入り込んでしまう癖は余り褒められたものではない。人見知りだという自覚がある割についつい後先省みぬ行動に出て、毎回のようにその場で唖然とする、というのは少々間の抜けた話だ。

 ――というかあの格好でうろついたのは拙かったよね。

「……僕は女の子じゃないし女の子になる予定もないッ!」
「いきなり何だね」
 教授が鳩に豆鉄砲を食らったような顔でこちらを見た。
「いや、仏頂面の馬鹿の顔を思い出してちょっと」
 何だかガクランが酷く懐かしく愛しいもののように感じられる昼下がり。岩だらけの山道でついた汚れを落とし、ついでに少しだけ真珠貝の粉で飾って貰った振袖を、今度は汚さないように気をつけながらふらふら歩く。乾燥したこの砂地はチャイブとルッコラには堪えるのではないかとも思ったが、案外……いや、ある意味予想通り二株とも元気そうだ。ルッコラだけ戦闘状態に入ると急にドォル以上にダルそうに見えるが、気の所為だろう、多分。
「そういえば、忘れるところだった」
「うん?」
「大乱戦……の、二回目です。申し込み用紙何処だっけ……?」
 今回のメンバーは前回先輩が引っ張ってきたメロウと、僕と同じように魔術学校(のようなもの?)に通っている日向雨。矢張りどちらもクニーの集めたギルドのメンバーだ。最近では集会場にギルメン以外が顔を出す事も多くなったようだが、流石のクニーもこれ以上メンバーを増やす気はないようで、勧誘している様子はなかった。
「私は未琴君にロクロー君だったか。……負けんぞ!」
「いや、当たる確率の方が断然負ける確率より低いのですが。教授のお付のあの助手の方はどうするのでしょうね。頭数、揃えてくるのでしょうか」
「小野寺君はさて、どうだろうなぁ」
「どうやらうちのメンバーとは少なからず面識があるようですし、会場でお会い出来れば良いのですけどね……あれ、教授?」
 ふと隣を見ると、既にそこに彼の姿はない。
「蟻だ! 我々にとっては新種の生物だぞ!」
 十数メートル先で、教授が走りながらそう叫んでいるのが見えた。更にその向こうでは人間よりも大きな蟻が顎をガチガチと鳴らして構えている。教授が気付いているかどうかは定かではないが、地中からはあの気持ちの悪い蚯蚓も顔を覗かせていた。
「ドォル……やっぱり僕らもあっちに行かなきゃ駄目かな」
「諦めろ。何ていうか……もう、アレだ、諦めろ」

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